1拍にいくつの音を込めるか。日本語の伝統的な音と拍の関係に、3つの段階が存在します。ふるいけや…かわずとびこむーみずのおと…五七五の韻律のもとには、八八八というベースの層があることを、こんなふうに示してみました。八八八のリズムを浮き立たせて読むと、都々逸になります。都々逸というのは、そもそも「ドドイツードイドイ」という囃子のリズムに合わせて即興の(しばしば時代風刺の)うたを語ったところからその名がきたもので、「ドドイツ」ということば自体が、「チュチュンが・チュン」((電線音頭)の「チュチュンが」と同じリズムを、身をもって表しています。
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私たちが日常しゃべるのは散文で、それは拍どりができないから散文と言われるのですが、しかし「ピカチュー」とか「オザケン」とか、4音のまとまりを発音するとき、私たちのことばはある程度“韻文返り”しています。「まっくろ・け」「おっぺけ・ぺ」「シッチャカーメッチャカ」「ほいきた・ガッテン」「東の横浜、西のPL」。どれもみんな調子がいい。[タどれもみんなタ調子がいい]。この4音1拍の韻律を明確に押し出してしゃべる人が、墓の油売り、活動写真の弁士、「演歌の花道」の司会役といった人々です。(プロレス実況の古舘伊知郎の韻律はもう少し複雑ですが。)今もやっているのかどうか知りませんが、以前は小学校低学年の国語の時間に、教室で1231234一斉に教科書を読んだものです。サン、ハイー教科書を読んだものです。というわけで、みんなでやると2音11拍の調子になる。「教科書を読んだものです」という、各人が1人で調子をつけて読むときの拍どりから、1段スローなレベルにギアシフトが起こると言っていいでしょう。