法的には、女性労働者を、その個人の能力や資質に着目するのではなく、平均的な勤続年数にもとづき、男性労働者と違った基準で処遇することは許されない。長期勤続への期待にもとづく異なった処遇は許されるが、それは男女とも同じように行わなければならないというのが、法の立場である。個々人の将来の勤続年数をサーチするのは簡単なことではなく、コストがかかってしまい、経済的合理性に合わない場合が多いであろうが、それは法的にみると、やむをえないことなのである。
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コストがかかるから差別をしてよいというのは、法的には、少なくとも男女差別(あるいは。人種差別)の文脈ではありえない。とはいえ、経済的に合理性のない法を強行すると、かえって労働者のためにならないこともある。たとえば、現在、募集、採用において男女差別が禁止されているため、会社は、新卒採用のときに、本音では男子学生の採用を希望しているが、最終決定までは、女子学生の候補者を残しているところがあると聞く。そうすると、女子学生は、会社の本音がわからないために、最終的な決定まで期待をもたされることになる。本来は、最終的な決定においても、男女差別は許されないが、会社が欲しい学生が男であれば、これを法により覆えさせることはできない。男女同数を採用しろというようなことまで法は強制できない。仮に強制したとしても、そもそも、そういうことを当の女子学生が望んでいるわけではない。